本当は怖い口腔疾患の話

口腔疾患、つまり口の中の病気には様々なものがあります。代表的なものとしては顎関節症や口腔がん、悪性リンパ腫、口腔粘膜疾患(ヘルペス性口内炎、白板症、ヘルパンギーナ、手足口病etc)などがあります。

口の中の病気と言えば虫歯や歯周病など歯に関するものがすぐにイメージされるかもしれませんが、口腔疾患にはこのように多くの症状が関連します。

口腔疾患・入れ歯の場合におすすめの食事

口腔疾患の中には口の中だけにとどまらず全身に悪影響を及ぼすものもあります。例えば歯周病をそのまま放置すると、なんと心疾患や脳卒中、糖尿病などを引き起こすこともあります。

歯周病はテレビCMなどでも頻繁に見聞きする言葉ですが、身近な話題な分あまり危険性を感じないかもしれません。しかし本当は命に係わることもある重大なファクターです。

そのため口腔疾患を持つ患者は、普段の食生活に気を付けて症状を悪化させないような工夫をしなければなりません。

口腔疾患や入れ歯の場合におすすめの食事

口腔疾患と言ってもいろいろな疾患があるので、代表的な疾患をピックアップしておすすめの食事をご紹介します。

また疾患とは違いますが、同じ口の問題として入れ歯を使用している場合の介護食のポイントについても解説します。

口腔がん
口腔がんはがんの中でもメジャーなものですが、アメリカの研究ではフルーツや野菜を頻繁に摂取している人は、そうでない人に比べてなんとがんの発症リスクが4割も減少しているようです。特にレモンやオレンジなど柑橘系の果物に効果が強いと考えられています。ですから肉や炭水化物だけでなく、フルーツと野菜も積極的に介護食に取り入れると良いでしょう。
虫歯
虫歯に有用な成分としてはキシリトールが有名ですが、最近の研究ではチーズに虫歯予防の作用があることが分かりました。意外な食材ですが、これはチーズの原料である牛乳にカルシウムやリンなど虫歯を抑制する成分が含まれていることに由来すると考えられています。
口内炎
口内炎はおそらく誰もが一度は経験する口腔疾患の一つでしょう。口内炎の原因は様々ありますが、そのうちの一つはビタミン不足です。ですからビタミンを積極的に摂取する必要があります。特にビタミンB群が必要です。ビタミンBは粘膜や肌を守る働きがありますが、十分な量があるなら口の中の新陳代謝がしっかり行われるので、口内炎リスクは減ります。またビタミンAにも粘膜保護機能がありますし、ビタミンCには全身の抵抗力をアップする作用が期待できます。ですからビタミン類を総合的にバランスよく摂取するのが大事です。
入れ歯
口腔疾患などが原因で歯を失ってしまった結果入れ歯を使っているという人は多いでしょう。一般的な入れ歯を上下につけて使用するのはスムーズな咀嚼のためですが、嚥下障害(食べ物をスムーズに飲み込めない障害)がある場合に入れ歯を使うと誤嚥を引き起こす可能性が高くなることがあります。

ですから誤嚥を防ぐためにミキサーなどを使って食材を飲み込みやすい状態にすることは大事です。また高齢者は咀嚼能力も低下している可能性が高いですので、噛みやすく処理しやすいように食材を一口サイズにカットして調理することも大切です。

介護食では栄養素だけでなく調理の仕方も重要です。少しでも食べやすいように、かつ口腔疾患を予防しやすいような介護食を心がけましょう。