高齢者と塩分との関係

高齢者の介護食を作る時には色々な味付けを意識しなければいけません。

しかし味付けにこだわって少しでも口当たりの良いものを作ろうとすると、塩分過多になってしまう恐れがあります。高齢者にとって塩分は要注意の調味料です。

塩分控えめで食べやすい献立が介護食の基本

塩分は塩そのものはもちろん、日本人伝統の調味料であるしょうゆや味噌などにも多く含まれています。またいわゆる「うま味調味料」にも含まれています。

高血圧の問題が一切ない人は例外として、基本的に高齢者の介護食は塩分控えめというのが基本です。塩分がないと味気ないというイメージがあるかもしれませんが、良い素材をつかってそのうま味を引き出せばおいしいものはできます

また最初は慣れなくても、塩気に慣れてきた舌が本来の状態に戻れば、減塩メニューでも味わい深くなるでしょう。

塩分が多い介護食を作ると危険!

現在日本人の成分の3人に1人は高血圧と言われています。高齢者についてはなんと3人に2人の割合で高血圧です。高血圧という症状は軽く見られがちですが、実際は脳卒中や心臓病など重篤な症状のトリガーにもなりえる問題です。

具体的に言うと、塩分を摂ると人はより水分を欲するようになります。そうなると血管内の血液量が増えるために血圧が高まります。

この状態が続くと血管は緊張状態になって硬く、厚くなります。いわゆる「動脈硬化」の状態がこれにあたります。放っておけば脳梗塞や心筋梗塞、心不全などにつながる恐ろしい状態です。

塩分摂取量の目安

塩分摂取量の目安はどれくらいかというと、世界のスタンダードは1日6グラム以下です。塩分摂取量が少ない国では相対的に高血圧人口が少ないという結果が出ているので、この目安を参考にすると良いでしょう。

実際「高血圧治療ガイドライン」でも、高血圧の人および正常な人ともに6グラム未満を勧めています。

では現状はどうかというと、日本人はだいたい9グラム前後は摂っています。平成15年くらいの調査では12グラム近く摂っていたので大分下がってきましたがまだまだ高い数値です。ここからさらに下げていかないといけません。

介護食を現在作る立場にある人は、使う素材や調味料に塩分がどれくらい含まれているかを意識することが大切です。また減塩でもおいしく料理を作るためのレシピ知識も求められます。