簡単につぶせる介護食は高齢者が食べやすい
高齢者の咀嚼する力は若い人のそれと比べると格段に弱くなっています。人にもよりますが、虫歯や市種苗で歯がなく入れ歯を使っている場合は、噛む力は3分の1ほどになると言われています。
十分に咀嚼できないと栄養素の消化吸収にも悪影響が出てしまう恐れがあるので、高齢者の噛む力、または嚥下する力(飲み込む力)を考慮した食事提供は大切です。
歯ぐきや舌をつかってつぶせる程度の力があるのであれば「ソフト食」を提供することになります。ソフト食とはイメージ的には豆腐のようなやわらかにアレンジした食事のことです。
若い人でも歯やあごが痛い時には豆腐のような柔らかさの食べ物をありがたく感じますよね。歯がない人か力が弱い人にはなおさら柔らかいソフト食が好都合です。
ソフト食には焼いた豆腐くらいの硬さのものから舌の力でつぶせる硬さのものまでいくらか段階があります。被介護者の状況に合わせた柔らかさを選んであげるのが大事です。
歯茎や舌でつぶせる介護食は作りやすい
ソフト食は比較的簡単に作ることができるので、毎日作らなければいけない場合にもおすすめです。
ある程度咀嚼力がある場合は多少食感に物足りなさを感じるかもしれませんが、時々ならソフト食も美味に感じることでしょう。
ソフト食を作る時は以下のようなポイントを意識すると良いです。
- 食材は柔らかいものを選ぶ(繊維があまりないものや脂肪が多めのもの)
- ひき肉のようにばらつきやすいものを使う時はとろみなどで「まとめる」
- 硬い食材を使う必要があるなら調理法を工夫して柔らかくする(蒸し料理やミンチ状にするなど)
ソフト食はある程度見た目の美しさを保つことができるので、食欲も減退しにくいのがメリットです。被介護者だけでなく通常の食事としても出せるので、介護食のみのレシピを考えなくても良いのが便利です。
高齢者の咀嚼とユニバーサルデザインフード
市販されている介護食の中には、そうした咀嚼や嚥下を意識してパッケージ化されたものがあります。それが「ユニバーサルデザインフード(UDF)」です。
これは「日本介護食品協議会」が策定した規格に適合する商品で、ユニバーサルデザインコードが表示した商品です。このフードは硬さや粘度などごとに以下の4つの分類されています。
- 「容易にかめる」
- 「歯ぐきでつぶせる」
- 「舌でつぶせる」
- 「かまなくてもよい」
高齢者の咀嚼力や嚥下力の状態に合わせてこのようなフードを使うなら、味のバリエーションを出したり介護者の介護疲れを軽減できるのでおすすめです。